コロナ後の世界(1)

私の観測範囲に限って言えば、「世の中のあり方が変わって新しい時代に入った、たとえコロナ禍が収束しても元通りに戻るわけではない」という意見をときどき目にする。私もそう思う。

では、コロナ後(ポストコロナ・アフターコロナ)の世の中は具体的にどう変わってゆくのだろう。

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まずはもっとも楽観的なケースを想像してみたい。新型コロナウイルス(COVID-19、SARS-CoV-2)に対する画期的な予防法と治療法が意外と早く見つかり、もはや脅威ではなくなりました。やっぴー。

営業や活動を(「自粛要請」という狡いワードによって実質的に)制限されていた業種はほぼ元通りに。特に観光業は、ステイホームのフラストレーションからの開放感と政府の景気対策が相まって大賑わい。存続が危ぶまれていた、飲食や芸能の業界もギリギリ危機を脱した。

デスクワーカーは(経営層も含めて)リモートワークの利点や魅力を知ったので、働き方は以前よりも柔軟になり、引き続き家で働く人が増えた。自分に合った働き方を選べる人が増えたので、自殺者は少なくなった。遅れていると散々言われてきた日本の企業や行政のシステムは、皮肉にもコロナ禍によって進歩を迎えたことになる。

あの頃はどうなることかと思ったけど、世の中は良い方向に変わったなあ。

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悲観的な想像のほうは、究極に最悪なパターンを書くと「人類滅亡」とか「世界崩壊」とか、最短4文字で終わってしまうので、まあまあ現実的にあり得そうな感じにしておこう。
期待していたような新薬はなかなか実現せず、悪い状況は数年、あるいは数十年単位で長引き、それが当たり前の日常になります。ええー。まじかよ。

手洗いや在宅など予防のための生活習慣が身についた人が増えたので、爆発的な感染拡大の可能性は少なくなった。とはいえ、100%完全な予防はできない。たとえて言えば交通事故のような、入院や急死や後遺症といったことが、我が身に降りかかる危険性が世の中にひとつ増えた。そんな状態が長く続いている。多くの人がそれに慣れ、受け入れ始めている。

医療の現場では、疲弊して退職する人が増え、もうずっと綱渡りの状態。もし、この状態でさらに新しい感染症が流行したらいよいよ破滅かもしれない。不織布マスクや消毒薬は欲しい人にそこそこ行き渡るようにはなったものの、世界的な需要増に変わりはないので、値段は高止まり。低所得の世帯で感染が広まることを危ぶんだ行政は、マスクとアルコール消毒の商品券を配っている。

一方で、補償金も新たな打開策も不十分で、壊滅する業界がいくつも出てきた。血こそ流れていないが、実質的には焼け野原がそこかしこに広がっている。まるで戦争のように、数多くの文化的資産が失われつつある。
かわりに産業として育ったのは、eスポーツVRライブ、それに遠隔レッスンくらい。新しい文化も産まれつつあるが、まだまだ手探り状態の小さな存在。今後、大勢の人生を豊かにするようなものに育つとしても、当分先のことだろう。

平和な時代に生まれてきたと思っていたけど、そうでもなかった。
世の中はすっかり変わってしまったなあ。

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現実がこの先どこへ向かうかはもちろん不透明だが、新しい時代の想像を時々アップデートしながら、自分の生き方を考えていきたい。
次はどんな仕事を選ぶかとか。自分が(そのときどきに手が届く範囲で)幸せを感じるのはどんなことか、とか。

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ホットケーキの写真

ホットケーキミックスが1袋余っていたので、今日のおやつに。
休校で長らく家にいる母子にニーズがあるのか、ホットケーキミックスやバターはこのあたりのスーパーでは品薄のよう。なので、貴重な食べ物かも。